乾燥は真冬より前に始まる──晩秋こそ肌の分岐点

乾燥は真冬より前に始まる──晩秋こそ肌の分岐点

乾燥は真冬より前に始まる──晩秋こそ肌の分岐点

気温が下がるほど、肌は自力で潤えなくなる

「乾燥がつらい」と感じるのは、たいてい真冬です。頬がカサつき、口元が粉をふき、すねがかゆくなる。けれど、その状態をつくった原因は、たいていもっと前から始まっています。

肌の乾燥は、真冬に始まるのではありません。気温と湿度が下がりはじめる、晩秋のうちに静かにスタートしています。

自覚するころには、すでに数週間から一か月ほど遅れている。だからこそ、11月という時期は、その冬の肌を左右する分かれ道になります。

気温が下がると、肌は「自力で潤う力」を失っていく

肌の表面には、皮脂と汗が混ざってできた薄い膜があります。いわば、体が自分でつくる天然のクリームです。この膜が、内側の水分が逃げていくのを防いでいます。

問題は、皮脂の量が気温に強く左右されることです。一般に、気温が1℃下がると皮脂の分泌はおよそ10%減るといわれています。10℃下がれば、単純計算で半分近くまで落ちる計算です。

同時に、汗をかく量も減ります。つまり晩秋は、天然のクリームをつくる材料が、両方いっぺんに細っていく季節なのです。

夏はテカリが気になっていた人が、秋口から急につっぱりを感じるようになる。あれは肌質が変わったのではなく、季節が切り替わったサインです。

「空気が乾く」の正体──湿度計の数字だけでは足りない

秋から冬にかけて、湿度が下がることは誰もが知っています。東京の平年値でも、9月には70%台あった湿度が、11月から12月には60%前後、真冬には50%台まで落ちていきます。

ただ、本当に効いているのは、この数字だけではありません。

空気が抱えられる水分の量そのものが、気温が下がると減っていくのです。同じ「湿度60%」でも、真夏の60%と晩秋の60%とでは、空気中に実際にある水分の量がまったく違います。数字が同じでも、肌が置かれている環境は確実に乾いています。

さらにここへ、暖房が加わります。部屋を暖めると湿度はさらに下がり、エアコン暖房の室内が30〜40%台になることも珍しくありません。外の乾燥に、室内の乾燥が上乗せされる。これが晩秋から冬にかけての構図です。

乾燥がかゆみを呼び、かくことでまた乾く

肌の表面が乾いてくると、水分を抱えておく力が落ち、内側からも水分が逃げやすくなります。乾燥が乾燥を呼ぶ、という状態です。

やっかいなのは、乾いた肌が刺激に敏感になること。ふだんなら何ともない衣類のこすれや、少しの温度変化でむずがゆくなる。そして、かけば表面はさらに傷み、もっと乾く。

すねや腰まわりのかゆみは、この悪循環の入り口であることが多いものです。「かゆい」と感じた時点で、乾燥はもう始まっています。

夏の"つけ"が、いま表に出てくる

もうひとつ、晩秋の肌には別の事情が重なります。夏に浴びた紫外線の影響が、時間差で現れてくるのです。

紫外線を浴びた直後から肌の内側では色素がつくられていますが、それが目に見えるシミやくすみとして表面に上がってくるまでには、数週間かかります。肌が新しく生まれ変わる周期は、健康な若い人でおよそ4週間、年齢とともに長くなっていきます。

つまり、いま気になっている顔色の変化は、いまの生活の結果ではなく、夏の記録です。

そしてもう一点。「もう秋だから日焼け止めはいらない」と考えている方は、少し待ってください。肌を赤くする紫外線は秋以降かなり減りますが、**肌の奥に届いてハリを支える組織を傷めるタイプの紫外線は、11月でも夏のピークの半分ほどが残っています。**こちらは雲も窓ガラスも通り抜けます。

この時期にやりがちな、逆効果な5つのこと

寒くなると、つい次のようなことをしてしまいがちです。どれも乾燥を早めます。

お湯の温度を上げる — 熱いお湯は、肌を守っている脂を洗い流してしまいます。38〜40℃くらいが目安です。

夏用の洗顔料をそのまま使い続ける — 皮脂が減っている季節に、皮脂を落とす力の強いものを使うと、洗いすぎになります。

ゴシゴシ洗う・ナイロンタオルを使う — こすることそのものが、肌の表面を削ります。泡でなでる程度で十分です。

お風呂上がりの保湿を後回しにする — 入浴直後の肌は水分を含んでいますが、同時にものすごい勢いで乾いていきます。タオルで拭いたら、できるだけ早くが原則です。

日焼け止めをやめる — 前述のとおり、紫外線はまだ残っています。

いま切り替えたい、3つのこと

① 保湿は「与える」だけでなく「ふたをする」まで

化粧水だけで終わっていませんか。水分を与えるものだけでは、そのまま蒸発してしまいます。

与える:化粧水、美容液などの水分
抱える:セラミドなどが配合された乳液・クリーム
ふたをする:油分を含むクリーム、ワセリンなど

この3つがそろって、はじめて水分が肌にとどまります。気温が下がってきたら、油分の比率を少し上げるのが、季節の切り替えの基本です。

② 部屋の湿度を50〜60%に保つ

加湿器を使う場合も、感覚に頼らず湿度計を置くのが確実です。上げすぎると結露やカビの原因になるので、50〜60%を目安にしてください。

③ 手・唇・すねを「センサー」にする

顔よりも先に乾くのは、皮脂の少ない部位です。手の甲がカサついてきた、唇が荒れてきた、すねがかゆい──これらは顔の乾燥が本格化する前のお知らせです。ここで対策を始めれば、真冬の状態がずいぶん変わります。

体の内側からも、材料を切らさない

肌をつくる材料は、結局のところ毎日の食事から来ています。

たんぱく質 — 肌そのものの材料です。食欲や食事量が落ちる季節ほど意識したいところ。

油をこわがりすぎない — 極端に脂質を減らすと、肌が水分を抱える力にも影響します。

ビタミンA・C・E、亜鉛 — 肌の生まれ変わりや、酸化から守るはたらきに関わります。

水分 — 気温が下がるとのどの渇きを感じにくくなり、飲む量が自然と減ります。意識して補いましょう。

おわりに

晩秋の肌は、夏に受けた影響を清算しながら、冬の乾燥に向けて準備を始めている最中です。

真冬に「今年は乾燥がひどい」と感じるかどうかは、実のところ、この時期をどう過ごしたかでかなり決まります。洗い方を見直す。保湿に油分を足す。日焼け止めをもう少しだけ続ける。

どれも派手さのない、地味な調整ばかりです。けれど、まだ困っていない今のうちに始めておくことが、数か月後の肌にいちばん効いてきます。

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