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夏に減ったのは体重ではなく筋肉かもしれない ― 残暑明けの除脂肪量リカバリー

夏に減ったのは体重ではなく筋肉かもしれない ― 残暑明けの除脂肪量リカバリー

夏に減ったのは体重ではなく筋肉かもしれない ― 残暑明けの除脂肪量リカバリー 夏の終わりに体重計に乗って、「あれ、少し減っている」と思った方は多いのではないでしょうか。 暑さで食欲が落ち、外に出るのもおっくうだった数か月。体重が落ちたなら結果オーライ、と考えたくなります。 けれど、少し立ち止まって考えたいことがあります。**減ったその2kgは、本当に脂肪だったのでしょうか。 --- ## 「体重が減る」にもいろいろある 体重という数字は、脂肪も、筋肉も、水分も、すべてまとめて表示されます。だから減っていても、何が減ったのかまではわかりません。 夏場に体重が落ちる理由は、だいたい次の4つが混ざっています。 **① 水分が減っている** 体の中の水分量は、一日のなかでも1kg近く変動します。運動量が落ちると、筋肉に蓄えられている糖(グリコーゲン)が減り、それと一緒に水分も抜けていきます。これは体が引き締まったわけではなく、単に貯蔵量が減っただけです。 **② 食べる量が減っている** 暑いと食欲が落ちます。これは気のせいではなく、体温が上がると食欲を抑える方向に体が働くためです。 **③ 食べているものが変わっている** 夏の食卓は、そうめん、冷やし中華、丼もの、アイス。どれも炭水化物が中心です。量としては食べていても、**肉・魚・卵・大豆といったたんぱく源だけが少なくなっている**ことは珍しくありません。 そして厄介なのは、この偏りが体重計には一切表示されないことです。 **④ 運動量が落ちている** 暑い時期は、同じ運動でもきつく感じます。ジムに行く回数が減った、ウォーキングをやめた、セット数を減らした。筋肉に与える刺激そのものが減っています。 このうち①は問題ありません。しかし②〜④が重なったとき、減っていくのは脂肪だけではなくなります。 --- ## 筋肉は「使わない・材料がない」と減っていく 筋肉は、日々つくられては壊されるということを繰り返しています。つくられる量が上回れば増え、下回れば減る。とてもシンプルな仕組みです。 そして、筋肉がつくられるためには2つの条件が要ります。...

夏に減ったのは体重ではなく筋肉かもしれない ― 残暑明けの除脂肪量リカバリー

夏に減ったのは体重ではなく筋肉かもしれない ― 残暑明けの除脂肪量リカバリー 夏の終わりに体重計に乗って、「あれ、少し減っている」と思った方は多いのではないでしょうか。 暑さで食欲が落ち、外に出るのもおっくうだった数か月。体重が落ちたなら結果オーライ、と考えたくなります。 けれど、少し立ち止まって考えたいことがあります。**減ったその2kgは、本当に脂肪だったのでしょうか。 --- ## 「体重が減る」にもいろいろある 体重という数字は、脂肪も、筋肉も、水分も、すべてまとめて表示されます。だから減っていても、何が減ったのかまではわかりません。 夏場に体重が落ちる理由は、だいたい次の4つが混ざっています。 **① 水分が減っている** 体の中の水分量は、一日のなかでも1kg近く変動します。運動量が落ちると、筋肉に蓄えられている糖(グリコーゲン)が減り、それと一緒に水分も抜けていきます。これは体が引き締まったわけではなく、単に貯蔵量が減っただけです。 **② 食べる量が減っている** 暑いと食欲が落ちます。これは気のせいではなく、体温が上がると食欲を抑える方向に体が働くためです。 **③ 食べているものが変わっている** 夏の食卓は、そうめん、冷やし中華、丼もの、アイス。どれも炭水化物が中心です。量としては食べていても、**肉・魚・卵・大豆といったたんぱく源だけが少なくなっている**ことは珍しくありません。 そして厄介なのは、この偏りが体重計には一切表示されないことです。 **④ 運動量が落ちている** 暑い時期は、同じ運動でもきつく感じます。ジムに行く回数が減った、ウォーキングをやめた、セット数を減らした。筋肉に与える刺激そのものが減っています。 このうち①は問題ありません。しかし②〜④が重なったとき、減っていくのは脂肪だけではなくなります。 --- ## 筋肉は「使わない・材料がない」と減っていく 筋肉は、日々つくられては壊されるということを繰り返しています。つくられる量が上回れば増え、下回れば減る。とてもシンプルな仕組みです。 そして、筋肉がつくられるためには2つの条件が要ります。...

「見た目が変わる減量」と「やつれる減量」を分ける5つの条件

「見た目が変わる減量」と「やつれる減量」を分ける5つの条件

「見た目が変わる減量」と「やつれる減量」を分ける5つの条件 同じ「マイナス5kg」でも、引き締まって見える人と、なぜか疲れて老けて見える人がいます。この差は意志の強さでも体質でもなく、減量のやり方そのものに理由があります。 体重計の数字は、脂肪も筋肉も水分も区別せずに合計しているだけです。だから「体重を落とす」ことだけを目標にすると、落としてはいけないものまで一緒に減ってしまう。そして減ったあとの見た目を決めているのは、実は残った筋肉の量と、体積が減ったあとの皮膚の状態です。 秋は、この2つを守りながら減量を始めるのに適した時期です。夏の直前に慌てて始める短期決戦とは違い、体に必要な時間を与えられるからです。 ここでは、「見た目が変わる減量」になるか「やつれる減量」になるかを分ける5つの条件を、体の中で起きていることと合わせて解説します。 条件1|落とす速度は「週に体重の0.5〜1%」に収める 減量で最初に決めるべきは、目標体重ではなくペースです。 体は、摂取エネルギーが不足すると体脂肪を分解してエネルギーに変えます。ところが不足の幅が大きすぎると、脂肪の分解だけでは追いつかず、筋肉のたんぱく質も分解してエネルギー源に回し始めます。筋肉は、体にとって「維持コストの高い組織」です。エネルギーが足りない状況が続くと、体は生存を優先して、コストの高い筋肉を積極的に手放しにいきます。 目安として、1週間あたりの減量幅は体重の0.5〜1%程度。体重60kgの方なら週に300〜600g、1か月で1.2〜2.4kgのペースです。 「遅すぎる」と感じるかもしれません。しかし1か月2kgでも、3か月で6kg、半年で12kgです。むしろ短期間で一気に落とす減量のほうが、減った体重に占める筋肉の割合が大きくなり、結果として「体重は減ったのに見た目が締まらない」という状態を招きます。 そしてもう一つ、ゆっくり落とすことには後述する皮膚のための意味があります。

「見た目が変わる減量」と「やつれる減量」を分ける5つの条件

「見た目が変わる減量」と「やつれる減量」を分ける5つの条件 同じ「マイナス5kg」でも、引き締まって見える人と、なぜか疲れて老けて見える人がいます。この差は意志の強さでも体質でもなく、減量のやり方そのものに理由があります。 体重計の数字は、脂肪も筋肉も水分も区別せずに合計しているだけです。だから「体重を落とす」ことだけを目標にすると、落としてはいけないものまで一緒に減ってしまう。そして減ったあとの見た目を決めているのは、実は残った筋肉の量と、体積が減ったあとの皮膚の状態です。 秋は、この2つを守りながら減量を始めるのに適した時期です。夏の直前に慌てて始める短期決戦とは違い、体に必要な時間を与えられるからです。 ここでは、「見た目が変わる減量」になるか「やつれる減量」になるかを分ける5つの条件を、体の中で起きていることと合わせて解説します。 条件1|落とす速度は「週に体重の0.5〜1%」に収める 減量で最初に決めるべきは、目標体重ではなくペースです。 体は、摂取エネルギーが不足すると体脂肪を分解してエネルギーに変えます。ところが不足の幅が大きすぎると、脂肪の分解だけでは追いつかず、筋肉のたんぱく質も分解してエネルギー源に回し始めます。筋肉は、体にとって「維持コストの高い組織」です。エネルギーが足りない状況が続くと、体は生存を優先して、コストの高い筋肉を積極的に手放しにいきます。 目安として、1週間あたりの減量幅は体重の0.5〜1%程度。体重60kgの方なら週に300〜600g、1か月で1.2〜2.4kgのペースです。 「遅すぎる」と感じるかもしれません。しかし1か月2kgでも、3か月で6kg、半年で12kgです。むしろ短期間で一気に落とす減量のほうが、減った体重に占める筋肉の割合が大きくなり、結果として「体重は減ったのに見た目が締まらない」という状態を招きます。 そしてもう一つ、ゆっくり落とすことには後述する皮膚のための意味があります。

「まだ大丈夫」が一番危ない。晩秋のスキンケア5つの見直しポイント

「まだ大丈夫」が一番危ない。晩秋のスキンケア5つの見直しポイント

「まだ大丈夫」が一番危ない。晩秋のスキンケア5つの見直しポイント 気温が下がるほど、肌は自力で潤えなくなる まだ本格的にカサついてはいない。特にトラブルも出ていない。だから、スキンケアは夏のままでいい──。 この「まだ大丈夫」が、実は毎年、真冬の乾燥をつくっています。 肌の乾燥は、自覚するよりずっと早く始まっています。つっぱりやかゆみを感じた時点で、すでに数週間ぶんの遅れがある。真冬に「今年はひどい」と嘆く人と、そうでもない人を分けているのは、まだ困っていない今、何を切り替えたかです。 この記事では、晩秋のうちに見直しておきたい5つのポイントを整理します。どれも難しいことではありません。ただ、順番を間違えると効きません。 なぜ「まだ大丈夫」なのに、もう始まっているのか 理由は2つあります。 ひとつは、皮脂が気温に連動して減ること。 肌の表面には、皮脂と汗が混ざってできた薄い膜があります。体が自分でつくる天然のクリームです。ところがこの皮脂、一般に気温が1℃下がると10%ほど減るといわれています。10℃下がれば、半分近くまで落ちる計算です。汗の量も同時に減りますから、晩秋は天然のクリームの材料が両方いっぺんに細っていく季節ということになります。 自覚症状が出ていなくても、守りの層はすでに薄くなっています。 もうひとつは、夏の影響が時間差で出てくること。 紫外線を浴びた直後から肌の内側では色素がつくられていますが、それが目に見えるくすみやシミとして表面に上がるまでには数週間かかります。肌が新しく生まれ変わる周期は、健康な若い人でおよそ4週間、年齢とともに長くなります。

「まだ大丈夫」が一番危ない。晩秋のスキンケア5つの見直しポイント

「まだ大丈夫」が一番危ない。晩秋のスキンケア5つの見直しポイント 気温が下がるほど、肌は自力で潤えなくなる まだ本格的にカサついてはいない。特にトラブルも出ていない。だから、スキンケアは夏のままでいい──。 この「まだ大丈夫」が、実は毎年、真冬の乾燥をつくっています。 肌の乾燥は、自覚するよりずっと早く始まっています。つっぱりやかゆみを感じた時点で、すでに数週間ぶんの遅れがある。真冬に「今年はひどい」と嘆く人と、そうでもない人を分けているのは、まだ困っていない今、何を切り替えたかです。 この記事では、晩秋のうちに見直しておきたい5つのポイントを整理します。どれも難しいことではありません。ただ、順番を間違えると効きません。 なぜ「まだ大丈夫」なのに、もう始まっているのか 理由は2つあります。 ひとつは、皮脂が気温に連動して減ること。 肌の表面には、皮脂と汗が混ざってできた薄い膜があります。体が自分でつくる天然のクリームです。ところがこの皮脂、一般に気温が1℃下がると10%ほど減るといわれています。10℃下がれば、半分近くまで落ちる計算です。汗の量も同時に減りますから、晩秋は天然のクリームの材料が両方いっぺんに細っていく季節ということになります。 自覚症状が出ていなくても、守りの層はすでに薄くなっています。 もうひとつは、夏の影響が時間差で出てくること。 紫外線を浴びた直後から肌の内側では色素がつくられていますが、それが目に見えるくすみやシミとして表面に上がるまでには数週間かかります。肌が新しく生まれ変わる周期は、健康な若い人でおよそ4週間、年齢とともに長くなります。

乾燥は真冬より前に始まる──晩秋こそ肌の分岐点

乾燥は真冬より前に始まる──晩秋こそ肌の分岐点

乾燥は真冬より前に始まる──晩秋こそ肌の分岐点 気温が下がるほど、肌は自力で潤えなくなる 「乾燥がつらい」と感じるのは、たいてい真冬です。頬がカサつき、口元が粉をふき、すねがかゆくなる。けれど、その状態をつくった原因は、たいていもっと前から始まっています。 肌の乾燥は、真冬に始まるのではありません。気温と湿度が下がりはじめる、晩秋のうちに静かにスタートしています。 自覚するころには、すでに数週間から一か月ほど遅れている。だからこそ、11月という時期は、その冬の肌を左右する分かれ道になります。 気温が下がると、肌は「自力で潤う力」を失っていく 肌の表面には、皮脂と汗が混ざってできた薄い膜があります。いわば、体が自分でつくる天然のクリームです。この膜が、内側の水分が逃げていくのを防いでいます。 問題は、皮脂の量が気温に強く左右されることです。一般に、気温が1℃下がると皮脂の分泌はおよそ10%減るといわれています。10℃下がれば、単純計算で半分近くまで落ちる計算です。 同時に、汗をかく量も減ります。つまり晩秋は、天然のクリームをつくる材料が、両方いっぺんに細っていく季節なのです。 夏はテカリが気になっていた人が、秋口から急につっぱりを感じるようになる。あれは肌質が変わったのではなく、季節が切り替わったサインです。 「空気が乾く」の正体──湿度計の数字だけでは足りない

乾燥は真冬より前に始まる──晩秋こそ肌の分岐点

乾燥は真冬より前に始まる──晩秋こそ肌の分岐点 気温が下がるほど、肌は自力で潤えなくなる 「乾燥がつらい」と感じるのは、たいてい真冬です。頬がカサつき、口元が粉をふき、すねがかゆくなる。けれど、その状態をつくった原因は、たいていもっと前から始まっています。 肌の乾燥は、真冬に始まるのではありません。気温と湿度が下がりはじめる、晩秋のうちに静かにスタートしています。 自覚するころには、すでに数週間から一か月ほど遅れている。だからこそ、11月という時期は、その冬の肌を左右する分かれ道になります。 気温が下がると、肌は「自力で潤う力」を失っていく 肌の表面には、皮脂と汗が混ざってできた薄い膜があります。いわば、体が自分でつくる天然のクリームです。この膜が、内側の水分が逃げていくのを防いでいます。 問題は、皮脂の量が気温に強く左右されることです。一般に、気温が1℃下がると皮脂の分泌はおよそ10%減るといわれています。10℃下がれば、単純計算で半分近くまで落ちる計算です。 同時に、汗をかく量も減ります。つまり晩秋は、天然のクリームをつくる材料が、両方いっぺんに細っていく季節なのです。 夏はテカリが気になっていた人が、秋口から急につっぱりを感じるようになる。あれは肌質が変わったのではなく、季節が切り替わったサインです。 「空気が乾く」の正体──湿度計の数字だけでは足りない

日焼け止めの正体~日焼けとどっちを選ぶ?

日焼け止めの正体~日焼けとどっちを選ぶ?

日焼け止めの正体~日焼けとどっちを選ぶ? はじめに:その問いは、そもそも正しく立てられているか 「紫外線吸収剤は体に悪い」「ノンケミカルでないと危ない」——夏が近づくたび、この種の言説がSNSやウェブ記事を賑わせます。なかには「日焼け止めを塗るくらいなら、日焼けしたほうがマシ」という主張まで見かけます。 しかしこの問いの立て方には、リスク評価の観点から見て決定的な欠陥があります。「日焼け止め」と「日焼け」は、そもそも同じ土俵で比較できる対象ではないからです。片方は世界保健機関の下部機関が「ヒトに対して発がん性がある」と結論づけた曝露であり、もう片方は各国の規制当局がポジティブリスト方式で成分と配合上限を管理している製品です。 本コラムでは、まず「紫外線」「日焼け」「日焼け止め」それぞれの正体を分子レベルまで分解し、そのうえで巷の懸念を一つずつ、ハザード(有害性)と曝露量の積であるリスクという物差しに乗せて検証していきます。 1. 「紫外線」の正体 ── DNAを壊す光子1-1. 波長で挙動がまったく違う 紫外線は波長によって三つに区分されます。 区分 波長 地表への到達 皮膚での到達深度 UVC 100–280 nm ほぼ全量がオゾン層で遮断 ― UVB 280–320 nm 到達UVの数% 表皮基底層まで UVA 320–400 nm 到達UVの9割以上 真皮中層まで...

日焼け止めの正体~日焼けとどっちを選ぶ?

日焼け止めの正体~日焼けとどっちを選ぶ? はじめに:その問いは、そもそも正しく立てられているか 「紫外線吸収剤は体に悪い」「ノンケミカルでないと危ない」——夏が近づくたび、この種の言説がSNSやウェブ記事を賑わせます。なかには「日焼け止めを塗るくらいなら、日焼けしたほうがマシ」という主張まで見かけます。 しかしこの問いの立て方には、リスク評価の観点から見て決定的な欠陥があります。「日焼け止め」と「日焼け」は、そもそも同じ土俵で比較できる対象ではないからです。片方は世界保健機関の下部機関が「ヒトに対して発がん性がある」と結論づけた曝露であり、もう片方は各国の規制当局がポジティブリスト方式で成分と配合上限を管理している製品です。 本コラムでは、まず「紫外線」「日焼け」「日焼け止め」それぞれの正体を分子レベルまで分解し、そのうえで巷の懸念を一つずつ、ハザード(有害性)と曝露量の積であるリスクという物差しに乗せて検証していきます。 1. 「紫外線」の正体 ── DNAを壊す光子1-1. 波長で挙動がまったく違う 紫外線は波長によって三つに区分されます。 区分 波長 地表への到達 皮膚での到達深度 UVC 100–280 nm ほぼ全量がオゾン層で遮断 ― UVB 280–320 nm 到達UVの数% 表皮基底層まで UVA 320–400 nm 到達UVの9割以上 真皮中層まで...

クエン酸は、疲れに効くのか

クエン酸は、疲れに効くのか

クエン酸は、疲れに効くのか ——スポーツドリンクのあの酸っぱさの正体 暑い日に一本飲み干したスポーツドリンク。原材料名を眺めると、砂糖や食塩に混じって「酸味料」あるいは「クエン酸」という文字が並んでいます。 クエン酸といえば、レモンや梅干しの酸っぱさのもと。そして「疲労回復にいい」というイメージ。運動のあと、酸っぱいものを口にすると生き返るような心地がするのも事実です。 では、あの酸っぱさは本当に疲れに効いているのでしょうか。 結論を先に言えば、答えは「半分イエス、半分ノー」。そして面白いのは、ノーの部分にこそ、クエン酸がスポーツドリンクに欠かせない本当の理由が隠れていることです。 1. クエン酸は「味」のためだけに入っているのではない まず知っておきたいのは、飲料に入っているクエン酸の役割が、実は驚くほど多いということです。 味を締める。 甘いだけの液体は、意外と飲みにくいものです。スポーツドリンクには砂糖が4〜6%ほど入っていますが、そのままでは重くて喉を通らない。クエン酸の、立ち上がりが速くて後を引かない酸味が甘さを切り、「もう一口」を可能にしています。 品質を安定させる。 クエン酸には、酸性度を一定に保つ「緩衝」という働きがあります。果汁の出来には年ごとのばらつきがあり、製造時の加熱や、店頭に並んでからの時間経過でも中身は少しずつ変化します。クエン酸が入っていると、そうした揺らぎがあっても味が崩れにくい。 中身を守る。 クエン酸には、ごく微量に混じり込む鉄や銅といった金属を捕まえて包み込む性質があります。これらの金属は放っておくと酸化反応の引き金を引き、ビタミンCを壊し、香りを劣化させ、色を褪せさせます。クエン酸はそれを未然に防いでいます。 腐りにくくする。 酸性の環境では、多くの微生物が増えられません。飲料の安全性は、この酸性度の設計に支えられています。 つまりクエン酸は、味の演出家であると同時に、品質保証の裏方でもあるわけです。この時点で、「疲労回復のために添加されている」という理解は、少なくとも一面的だとわかります。

クエン酸は、疲れに効くのか

クエン酸は、疲れに効くのか ——スポーツドリンクのあの酸っぱさの正体 暑い日に一本飲み干したスポーツドリンク。原材料名を眺めると、砂糖や食塩に混じって「酸味料」あるいは「クエン酸」という文字が並んでいます。 クエン酸といえば、レモンや梅干しの酸っぱさのもと。そして「疲労回復にいい」というイメージ。運動のあと、酸っぱいものを口にすると生き返るような心地がするのも事実です。 では、あの酸っぱさは本当に疲れに効いているのでしょうか。 結論を先に言えば、答えは「半分イエス、半分ノー」。そして面白いのは、ノーの部分にこそ、クエン酸がスポーツドリンクに欠かせない本当の理由が隠れていることです。 1. クエン酸は「味」のためだけに入っているのではない まず知っておきたいのは、飲料に入っているクエン酸の役割が、実は驚くほど多いということです。 味を締める。 甘いだけの液体は、意外と飲みにくいものです。スポーツドリンクには砂糖が4〜6%ほど入っていますが、そのままでは重くて喉を通らない。クエン酸の、立ち上がりが速くて後を引かない酸味が甘さを切り、「もう一口」を可能にしています。 品質を安定させる。 クエン酸には、酸性度を一定に保つ「緩衝」という働きがあります。果汁の出来には年ごとのばらつきがあり、製造時の加熱や、店頭に並んでからの時間経過でも中身は少しずつ変化します。クエン酸が入っていると、そうした揺らぎがあっても味が崩れにくい。 中身を守る。 クエン酸には、ごく微量に混じり込む鉄や銅といった金属を捕まえて包み込む性質があります。これらの金属は放っておくと酸化反応の引き金を引き、ビタミンCを壊し、香りを劣化させ、色を褪せさせます。クエン酸はそれを未然に防いでいます。 腐りにくくする。 酸性の環境では、多くの微生物が増えられません。飲料の安全性は、この酸性度の設計に支えられています。 つまりクエン酸は、味の演出家であると同時に、品質保証の裏方でもあるわけです。この時点で、「疲労回復のために添加されている」という理解は、少なくとも一面的だとわかります。