たんぱく質を構成する20種のアミノ酸
人体を構成するたんぱく質、その中でも必須アミノ酸と呼ばれる物質で同じアミノ酸であるロイシン・バリン・イソロイシンは、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれていることは、このページを見ている方はご存じの通りです。
ここからは、やや専門的な説明をしていきます。
タンパク質が不足すると筋肉量が低下します。 タンパク質は20種のアミノ酸でできており、このアミノ酸が筋肉の元になります。 そして、体内では生産できない「必須アミノ酸」については、食事から補給しなければなりません。
この必須アミノ酸の中でも、特に筋肉の生産に関わるのがロイシンです。
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ロイシン
摂取するメリット:
必須アミノ酸の一つです。ロイシンには筋肉中のたんぱく質の合成を促進し、分解を抑制する働きがあると言われているので、筋肉づくりのサポートや筋肉疲労の抑制、運動中の筋肉消耗の低減などの効果が期待できます。そのため、運動パフォーマンス向上に役立ちます。
不足すると?:
通常の食事で不足することのないロイシンですが、不足した場合には肝機能が低下しグリコーゲンの合成が滞ってしまいます。グリコーゲンは膵臓から分泌されるインスリンの働きによりブドウ糖から合成されているため、ロイシンの摂取不足を起こすとインスリンの分泌が減少すると言われています。
摂取タイミング:
トレーニング開始直前とトレーニング終了時にたんぱく質や必須アミノ酸などを摂取することがよいとされています。このときに摂取した栄養素による筋たんぱく質の合成促進には、ロイシンが深く関与しているという見方があるのです。
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バリン
摂取するメリット:
必須アミノ酸のひとつで、筋肉の強化や疲労回復効果、成長の促進、血液の中にある窒素のバランスを調整すると言われています。ロイシン、イソロイシンとともにBCAAと呼ばれ、運動時のエネルギー補給としてスポーツサプリメントなどに配合されています。
不足すると?:
バリンなどのBCAAの大きな役割は、筋肉の合成や維持です。そのため、バリンの不足にともない、筋肉量の減少が起こる可能性があります。また、バリンの不足は体内の窒素バランスを崩してしまいます。結果、筋肉の分解は進み、さらに筋量の減少や痩せに繋がるでしょう。
摂取タイミング:
バリンを含むBCAAは筋肉内に占める割合も多く、筋肉の合成と密接に関係しています。そのため、運動時に摂取することで効率よく体に取り込むことが期待できます。
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イソロイシン
摂取するメリット:
イソロイシンは必須アミノ酸の1つであり、成長を促進し神経機能をサポートするほか、肝臓の機能強化、血管拡張作用、筋肉強化、疲労回復などのはたらきがあることもわかってきています。
バランスよく摂取することで筋肉の分解を抑えて、筋肉を維持することが最近の研究で分かってきています。また、髪を構成するタンパク質の約80%を占める主要成分イソロイシンは、髪に重要なうるおいを与え、健康的な髪を保つと言われます。
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不足すると?:
イソロイシンが不足すると食欲を低下させ、栄養不良の悪循環を引き起こす可能性があります。また不足によって皮膚炎症状を引き起こすこともあり、イソロイシンが肌の健康にも重要な役割を持つと考えられています。
摂取タイミング:
アミノ酸の吸収にかかる時間も考慮すると、トレーニング後30分以内に摂取すると良いでしょう。
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フェニルアラニン
摂取するメリット:
フェニルアラニンは脳を活性化させると言われています。
体内に入ったフェニルアラニンは、最終的にノルアドレナリンやドパミンなどに変換されます。ノルアドレナリンやドパミンは、脳を刺激して覚醒させる神経伝達物質です。
脳が覚醒すると精神も高揚しやすくなるため、気分の落ち込み・憂鬱などのうつ症状が改善されやすくなると言われます。
不足すると?:
フェニルアラニンの摂取不足が発生してしまうと、成長の遅れ、皮膚や髪の問題、気分の落ち込みや、エネルギーレベルの低下など、身体にさまざまな悪影響が生じる可能性があります。
摂取タイミング:
一日に複数回による適量摂取がおすすめです。フェニルアラニンは、食事から栄養分として摂取しなければならない必須アミノ酸のひとつで、大豆や小麦などに含まれています。サプリメントプロテインで効果的に摂り入れるなら、食事や水と一緒に口にするのがベターです。
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クエン酸(参考*アミノ酸ではありません*)
摂取するメリット:
クエン酸は、クエン酸回路を活性化させるのに役立つ成分であり、疲労を回復させるには欠かせない食品原料です。
疲労の早期回復に役立つ以外にも、クエン酸には血液をサラサラにする働きや、低血圧や動脈硬化を予防する働き、さらにはミネラルの吸収を促進させる働きなどさまざまな健康効果があると呼ばれ各社からそういった目的の商品が発売されています。
クエン酸は酸という名称がついていますが、体内に入るとアルカリ性に変わり血液中の酸を中和してアルカリ性に変え、バランスを正常に保つのを助けます。クエン酸を飲むことにより、体内の新陳代謝能力をアップさせ、皮膚をはじめ身体の各部の痛みを調整し癒す力があると言われています。
不足すると?:
クエン酸は、食事によって摂取されたタンパク質・脂質・糖質を、分解・消化しながらエネル ギーを作る栄養素です。
ストレスや疲労などが重なり、クエン酸不足するとエネルギーに変えられなかった成分が乳酸になり蓄積され、それによって疲労しやすくなり、回復も遅くなります。
摂取タイミング:
クエン酸の摂取頻度に関しては、毎日摂取することをおすすめします。摂取タイミングについては、寝る前を含めて1日3〜4回程度に分けて摂ると良いとされています。
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リジン塩酸塩
摂取するメリット:
リジンは、体内でのたんぱく質の組み立てに必要不可欠な必須アミノ酸のひとつです。たんぱく質は体内で細胞や細菌・ウイルスの侵入を防ぐ抗体の材料として用いられるため、リジンの摂取は成長と免疫力の向上に大きな役割を果たします。
疲労回復、集中力をサポートするリジンには、体の組織を修復し成長に関わる働きがあります。
アルギニンと一緒に摂ることで、精神的ストレスや不安感の自覚レベルが高い人のストレスや不安感を軽減することが期待されます。
不足すると?:
リジンが欠乏すると、疲れやすくなって集中力が低下したり、目の充血、めまいや吐き気、貧血などの症状が現れることがあります。
また、肝臓の機能が低下して、血中の飽和脂肪やコレステロールが増加しやすくなります。一般に、高齢の男性は若い人と比較して、より多くのリジンが必要とされます。
摂取タイミング:
可能であれば空腹時の服用がおすすめです。食事の後であれば2時間後を目安に、「食間」を意識すると体感が期待できます。
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トレオニン(スレオニン)
摂取するメリット:
トレオニン(スレオニン)は必須アミノ酸のひとつで、体内のタンパク質バランスの維持に重要な役割を担っています。
トレオニン(スレオニン)は、健康的な肝機能の維持、脂肪肝の予防、成長と発達の促進、皮膚と髪の健康促進、老化の抑制に役立つと考えられています。また、胃炎改善にも良いとされています。
不足すると?:
トレオニンが不足すると、食欲不振や貧血、体重の減少などを引き起こします。
摂取タイミング:
アミノ酸の吸収にかかる時間も考慮すると、トレーニング後30分以内に摂取すると良いでしょう。また、大豆製品に多く含まれているので、日々の食事で摂取するのもいいでしょう。
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メチオニン
摂取するメリット:
メチオニンは必須アミノ酸の1つで、硫黄を含んだ含硫アミノ酸であり、体内でグルタチオンやタウリンに変換されます。
コレステロールを減らすはたらきや肝機能改善作用、免疫増強作用などが報告され、そのほかにも記憶力の向上や、認知症の予防・改善といった脳の活性に効果があると期待されています。また、食品の栄養強化などにも使われています。
不足すると?:
メチオニンが不足すると、利尿機能が低下し、むくみを起こしたり、動脈硬化や抜け毛の原因となります。またメチオニンにはアレルギーを引き起こすヒスタミンの血中濃度を引き下げる働きがあります。
そのため不足するとアレルギーを引き起こす可能性や血中コレステロール値が高くなります。(花粉症にも改善効果があるかも?)
摂取タイミング:
1日の必要量は、体重1kg当たり15mgです。体重60kgの人の場合、900mgになります。例えば、マグロの刺身100gに含まれるメチオニンは760mgです。1日3度、バランスの良い食事をしていれば、1日に必要なメチオニンは摂取できます。
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ヒスチジン
摂取するメリット:
ヒスチジンは、交感神経を刺激するヒスタミンの原料です。ヒスタミンが生成されると脳内に入り、満腹中枢を刺激してくれる事で満腹度が高まり、結果、食欲の抑制や脂肪燃焼を期待できるのです。
体内の代謝に必要な亜鉛やその他のミネラルの吸収を助ける働きもあります。
ヒスチジンは集中力・記憶力を高める作用があるとも知られています。副交感神経を鎮静化し、貧血の改善をサポートする働きがあると言われています。
不足すると?:
ヒスチジンが不足してしまうと、成長不良や神経機能の低下が起こります。成長に関わる必須アミノ酸はヒスチジン以外にもありますが、体内で合成することのできない子どもの場合は発育阻害となってしまいます。
摂取タイミング:
ヒスチジンの必要摂取量は、大人の場合、1日当たり10mg/kgとされています。体重が60kgだと600mg必要です。1日に必要な量のヒスチジンを食事やサプリメントで摂取する場合は、特に問題はないと思われます。
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トリプトファン
摂取するメリット:
トリプトファンは、不眠、アンチエイジング、記憶力、集中力、コレステロール値、精神安定、鎮痛、PMS、更年期などのサポートができると言われています。
特にトリプトファンには睡眠の質に関わりがあります。トリプトファンは「セロトニン」を経たのち、「メラトニン」というホルモンに変化するためです。
セロトニンは脳内神経伝達物質の1つで、「幸せホルモン」と呼ばれています。一方、メラトニンは眠気を誘う物質で「睡眠ホルモン」と呼ばれています。
不足すると?:
トリプトファンが不足すると自然とセロトニンも不足し、慢性的ストレスや疲労、イライラ感、向上心の低下、仕事への意欲低下、協調性の欠如、うつ症状、不眠といった症状に陥ることがあります。
摂取タイミング:
トリプトファンは朝に摂るのがおすすめです。身体に入ったトリプトファンは、セロトニンになります。日中作られたセロトニンは14~16時間後にメラトニンとなって、私たちの眠りを誘い、ぐっすりと睡眠をとることができるのです。
次回コラム:
みんなが知りたい、人体を構成するアミノ酸の全て(非必須アミノ酸版)