イヌリンってどんな成分？注目の食物繊維の特徴とは

2025年7月30日

イヌリンってどんな成分？注目の食物繊維の特徴とは

イヌリンとはどんな成分か
イヌリンは、近年注目を集めている水溶性食物繊維の一種です。特に、現代人が不足しがちな食物繊維補給や健康維持を意識する層に向けて、その効果や安全性に関する研究が進んでいます。イヌリンは主にチコリ、菊芋、アガベ、ごぼう、玉ねぎ、にんにく、ニラなどの植物に多く含まれています。

分子構造と特性
イヌリンは果糖が鎖状に重なった多糖類で、消化酵素によって分解されにくいため、大腸まで届きます。水に溶けやすく、腸内でゲル状となってその健康作用を示します。カロリーは約2kcal/gで糖やデンプンの約半分、脂質の約4分の1と非常に低カロリーです。

イヌリンの主な特徴と機能
1. 腸内環境の改善と整腸作用
イヌリンは「プレバイオティクス」に分類され、大腸の善玉菌（ビフィズス菌など）のエサとなります。その結果、短鎖脂肪酸の産生が増え、腸内フローラのバランスが整い、便通の改善や便秘の予防に貢献します。ヒトを対象とした臨床試験でも、腸内細菌環境と排便の改善が認められています。

善玉菌の増殖促進

便のかさ増し・便通改善

免疫力の向上

感染症やアレルギーリスクの低減

2. 血糖値や中性脂肪への作用
イヌリンは、食後の血糖値上昇を緩やかにする効果があります。水分を吸って膨張し、消化管内でゲル状となることで糖質の吸収をゆっくりにするため、食後高血糖の抑制や糖尿病の予防に役立ちます。

また、血中の中性脂肪やコレステロールへの吸着・排泄を促進し、血中脂質の低減も期待されています。

3. ダイエットや生活習慣病予防への寄与
イヌリンは食後の満足感を高めたり、胃の滞留時間を延ばす効果も認められています。これにより自然に食事量をコントロールでき、ダイエットサポート食材やサプリメントの素材としても人気があります。また、肥満や糖尿病、脂質異常症など生活習慣病の予防効果も期待されています。

イヌリンを多く含む食品
以下にイヌリンを多く含む主な食品と、その含有量の目安をまとめます。

食品	100g当たりのイヌリン含有量
チコリの根	35.7〜47.6g
アガベ	25〜30g
菊芋	16〜20g
にんにく	9〜16g
ごぼう	5.4〜9.7g
アスパラガス	2〜3g
玉ねぎ	1.1〜7.5g
小麦	1〜3.8g