みんなが知りたい、人体を構成するアミノ酸の全て(非必須アミノ酸版)
前回の必須アミノ酸コラムに引き続き、今回は非必須アミノ酸についてやや専門的な内容を含むお話をさせて頂きます。
食べ物などでたんぱく質を摂取すると、胃や腸で構成成分であるアミノ酸まで分解され、体内に吸収されます。
そして吸収されたアミノ酸は、筋肉をはじめ体内のたんぱく質の合成に使われます。
そもそも人体の約60%が水分ですが、脂質やその他の成分は割愛して次に多いのが人体の約20%を占めているタンパク質です。
まず、アミノ酸には体内で合成されない必須アミノ酸と、体内で合成される非必須アミノ酸があります。
非必須アミノ酸には、アルギニンやグルタミンを含め11種類のアミノ酸が該当します。体内で合成されない必須アミノ酸には9種類のアミノ酸が該当し、それらを総称してEAAと呼ばれています。
では、非必須アミノ酸について見てみましょう。
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グリシン
摂取するメリット:
グリシンは非必須アミノ酸の中で最も小さく単純な構造を持っているのが特徴です。
実はゼラチン、ホタテや魚介類などに多く含まれています。また甘味があるため、食品に甘味料として使用される他、微生物の繁殖を抑える性質を持つことから、日持ち向上剤としても利用されることが多いです。
そしてグリシンは脳内の神経細胞の興奮を抑え、睡眠の質を高める効果が知られていますので、トリプトファンのように睡眠前に摂取すると睡眠のサポートが得られるのではないかと考えられます。
摂取タイミング:
グリシンを就寝前30分ごろに3000mg以上摂取するとよいとされる研究結果が出ております。
ただし、グリシンの摂取タイミングは目的やライフスタイルによっても変わってくることから、それぞれのタイミングは自分で調整するようにしましょう。
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アルギニン
摂取するメリット:
活力の元となるアミノ酸と言われており、成長ホルモンの分泌を促して子供の成長を助け、疲労回復や免疫力のサポートが期待できると言われています。
特に大豆、落花生、ごま、ニンニク、うなぎ、鶏肉などに多く含まれているので、お子さんがいる家庭では意識して食卓に取り入れるといいでしょう。
ほかにも、体内で血管を拡張する作用を持つ一酸化窒素の産生を高め、血行を良くし、血管の健康を保つ働きがあると言われています。
もう一つの特徴として子供の成長期、ストレスや病気の時などには、体内での合成が間に合わないため、条件付き必須アミノ酸とも呼ばれています。
摂取タイミング:
条件付き必須アミノ酸ですが、ストレス時や運動後、睡眠の30分前などに摂取することで、身体サポートをしてくれると言われています。
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グルタミン
摂取するメリット:
骨格筋では遊離アミノ酸の60%以上を占める、体内で最も多く存在する非必須アミノ酸です。
そしてグルタミンは免疫細胞や腸管細胞など活発に分裂する細胞のエネルギー源となるため、免疫や腸の機能維持に欠かせないアミノ酸です。
摂取タイミング:
グルタミンは激しい運動により大量に消費され、運動後の免疫力低下の一因となるため、運動後の摂取が好ましいです。なのでアスリートのコンディション維持にも有用です。
ストレスや病気の時などでも大量に消費され、体内での合成が間に合わないため、グルタミンも条件付き必須アミノ酸の一つになります。
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チロシン
摂取するメリット:
チロシンは、非必須アミノ酸の一つであり、体内でフェニルアラニンから合成されます。
よく見られるわかりやすい例として、たけのこの切り口に付着している白い粉は、実はチロシンです。
ドパミンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質や、皮膚や髪の毛のメラニンの原料となります。
摂取することで集中力の向上やストレス軽減など脳機能の改善効果が期待されます。
摂取タイミング:
チロシンは、エネルギーレベルや集中力を向上させるとされているため、朝に摂取することで、1日のスタートを良いものにすることが期待できます。
その他、集中力や精神的なパフォーマンスの向上に寄与する可能性があるため、特に長時間の勉強や仕事などで集中力を維持したい場合は、そのタイミングで摂取するのがよいでしょう。
次回:
長くなったため、みんなが知りたい、人体を構成するアミノ酸の全て(非必須アミノ酸版)は前編後編に分けたいと思います。