「BCAAを80%配合しているって書いてあって、表示は10gあたりのタンパク質量が6g(60%)ってなっているのはどうして? 80%配合なら8gにならないの?」
EAAやBCAA商品に記載されている栄養成分表示を見てこんな疑問を感じたことはないですか?
食品表示基準における分析方法において、タンパク質量の計算方法には一定の定義があります。これに基づいて算出すると、配合されているアミノ酸量とタンパク質量には違いが出ることがほとんどです。
今回はアミノ酸のタンパク質量の計算方法について解説します。少し難しい話になりますがあまり構えずに読んでみてください。
アミノ酸のタンパク質量を求める計算式
食品表示基準における栄養成分の分析方法において、たんぱく質は「食品中のたんぱく質の定量では、全窒素を定量し、それに一定の係数を乗じて得たたんぱく質量とする」と定義されています。
この定義に従って各アミノ酸のタンパク質量を求める計算式は以下のとおりです。
タンパク質量 = 窒素・タンパク質換算係数 × 窒素含量
まだ何のことだかさっぱりわかりませんね。詳しく解説していきましょう。
窒素・タンパク質換算係数
窒素・タンパク質換算係数とは、タンパク質内における窒素の含有比率をもとに、窒素量からタンパク質量を割り出すための数値です。
一般的なタンパク質の窒素含量は16%で、係数は6.25となります。
この係数を使うことで、アミノ酸内の窒素量がわかればタンパク質量を算出できます。
窒素含量
ではアミノ酸内の窒素含量を算出しましょう。
窒素含量は以下の計算式で算出できます。
窒素含量(%) = 窒素原子量 × 窒素(N)数 ÷ アミノ酸分子量 × 100
・ 窒素原子量:14.007
・ 窒素(N)数:アミノ酸化学式内の窒素(N)の数
アミノ酸内のタンパク質量の算出
これまでに求めた数値でアミノ酸のタンパク質量を計算することができます。
以下の例を見てください。
ヒスチジンのタンパク質量は100g中100g(計算上100を超える場合は100gとされます)、バリンのタンパク質量は100g中74.73gとなりました。
細かい数字まで覚える必要は全くありませんが、理論上、100g中のタンパク質量が100を超えるものや100を下回るアミノ酸が存在することを覚えておいてください。
代表例として、
・ 100を超えるアミノ酸:グリシン、アスパラギン酸、アルギニン
・ 100を下回るアミノ酸:メチオニン、フェニルアラニン、チロシン
などがあげられます。
EAA、BCAAのタンパク質量算出
上記で算出したアミノ酸内のタンパク質量を使えば、EAAやBCAA製品中のタンパク質量を算出することができます。
F&WのBCAAを例に計算してみましょう。
先述の計算式から出したBCAAのタンパク質量は以下です。
・ バリン:74.73g/100g中
・ ロイシン:66.74g/100g中
・ イソロイシン:66.74g/100g中
F&WのBCAAは、製品内にBCAAを約84%配合しています。配合割合はバリン:ロイシン:イソロイシン=1:2:1です。
1回で10g摂取とした場合、1回に摂取できるタンパク質量は5.77gとなります。
この数値はあくまでも理論上の計算値です。
ちなみに、F&WのBCAA製品の栄養成分表示は外部分析機関にて分析した数値となり、計算値とは差異があります。
また、バリン、ロイシン、イソロイシン以外の配合原料にもそれぞれ窒素が含まれているため、分析値には各原料分のタンパク質量も計上されます。
まとめ
アミノ酸に含まれるタンパク質量の計算方法、アミノ酸量とタンパク質量に違いが出る理由を説明しました。
なんとなく仕組みがご理解いただけたでしょうか。
世の中のアミノ酸商品を眺めていると、BCAA80%配合としていながら、タンパク質量10g中8gと記載している商品も見受けられます。
また、タンパク質量が100を超えるアミノ酸を多く添加することでタンパク質量を意図的に調整することができてしまうので、表面のタンパク質量だけで商品の良し悪しを判断してしまうのは危険かもしれません。
今回の話は少し難しいかもしれないですが、タンパク質の算出方法や表示の見方を覚えていくことで、自分にとって本当にいいものが何かを見極め、選びとる力がついていくと思います。皆様の商品選びに少しでも役立てていただければうれしいです。
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